でも、いくら能天気な両親とはいえ、まだ高校生になったばかりの私を住み込みで働かせる……ってなると、さすがに止められるんじゃ……?


止めてほしい、というかそれくらいの常識的なものは両親にも持っていてもらいたいなぁ、なんて。


でも、そんな私の願望も儚く消え散ってしまう。


「ああ、それなら安心して。
綺ちゃーん」

「え!?」


零さんはにこりと綺麗な顔で微笑み、入り口を覗くように母の名前を呼ぶ。

それにつられて、私も扉の方に目を向けた。


すると、


「はーいっ」


と、いかにも気の抜けたような返事が返ってきて、室内にはメイド服姿の綺ちゃんが入ってきた。


「綺ちゃん!?
もしかして、聞いてたの……!?」

「うん。
もう、ママびっくりしたわよー?
昨夜霧様から電話があったと思ったら、僕の部屋で寝ているのでそのまま泊まらせますって言われるんだものー。
いつの間にかとっても仲良くなっていたのね!」