「露は?」

「え?」


霧様との甘いひと時に酔っていると、突如名前で問いかけられた。


「好きな人はいる?」

「あ……」


好きな人――。

それは、霧様です……。


霧様の問いに浮かんだ人物は、紛うことなく霧様ただ一人。


でも、霧様は私のご主人様。

メイドである私がそんな事を軽々しく口にするわけにはいかない。


ましてや本人を目の前にしてそんな事を言えるほど強くありません!


私が黙ったままでいると、別の意味で肯定と捉えたのか霧様は……。


「……もしかして、この間の彼?」

「はいぃ!?」


霧様……っ、やっぱり勘違いされてらっしゃる!?

この間あれだけ説明したのにぃ~!