「好きだ」 気まずい瞬間が訪れた。 あたしは今、放課後の中庭で健と向き合っている。 いつものようにベースを背負って、目を泳がす健。 俺チビだし、へたれだし、 頭もよくないし、だけど俺は琴のこと… と健はそんな言葉を所狭しと並べた。 途切れ途切れに。 少し声を震わせながら。 「ごめん。 あたしには、健は気の合う友達で、それ以上には思えない」 ついに言ってしまったと思った。 「そっか」 少し間があいて、やたら空元気な返事が返ってきた。