きみの声がきこえない

――…

「行ってきたらいいじゃん」

いつものように忍び込んだ屋上で、陽介がずばり言い放った。


「でも友里が…」


健にライブに誘われたこと。

そして、友里が健を好きだったということ。


そのことがあたしの中で蟠っているのだ。


「三角関係。どっちかを選ぶしかねーな」


陽介が錆びたフェンスに寄りかかって目を細めた。


「でも、あたしは健のことはやっぱり友達としか思えない。

友里のことを思うと、やっぱりあたしは健の誘いに乗るべきじゃないんだよ。

でも、健のことも傷つけたくないし…」


「一番傷つけたくないのは、自分じゃねーの?」

「え?」