「…っでも、あたし。あたし…は、怜衣くん。怜衣くんが好きだから…ね?」


あたし。


涙声で、繰り返す。


「大好きなんだから、ね?」


「お嬢様…。」


スッと、怜衣くん。


ハンカチを差し出して、あたしの涙を拭く。


「…分かりました。泣かないでください。お嬢様?」


怜衣くん。


ちょっとだけ考えた瞳になって、それから頷いた。


「…内緒の恋を始めましょう。」