「……多分、紀子さんは今頃、山中くんと会ってるはず。」 「りょうくん……と?」 栗原奏太はゆっくりとうなずく。 「僕たちは、損な役回りな上に、辛い役回りなんだ。」 ……損で辛い役回り? 「……里奈ちゃん。」 「……はい?」 アイスコーヒーの氷が、カランと音を立てて揺れた気がした。