「私に良介の母親を名乗る資格はないわ。それに良介くんには、里奈ちゃんがいる。」 僕はどう声をかければいいか分からなかった。 「……僕たちは、紀子さんのおかげでまとまることができました。でも、紀子さんのおかげで、僕は大切な人を失いました。佳代はそこにいるけど、もう他人より遠い。……って、僕がダメだっただけなんですけどね。」 僕は、流れてきそうになる涙をこらえて、強がってみせた。