「……奏ちゃん、ごめんね。」
僕たちの話が終わった後、僕と佳代は屋上で話をしていた。
「……どうして言ってくれなかったの?」
「……言うタイミングがなくて。」
佳代は今にも泣きそうにしている。
「……一応聞くけど、僕をデビューさせてくれたのは、佳代の彼氏だからじゃないよね?」
「当たり前だよ!……奏ちゃんはとっても頑張ってたし……こんな大事なこと、えこひいきしたりしないよ……」
佳代はそう言うと、とうとう泣き出してしまった。
「……ごめん。」
僕はそう言って佳代を抱きしめた。
……とても複雑な気持ちだったんだと思う。少し考えれば、佳代がそんなことをしないことなんて分かったはずなのに、僕は佳代を傷つけた。


