「佳代、入りなさい。」
社長がそう言うと、社長室に佳代が入ってきた。
そこにいたのは、紛れもなく僕が大好きな人だった。
「佳代は私の娘で、研修生の中からデビューさせるのは誰がいいか選ぶ係なんだ。」
佳代が僕たちの練習を観に来ていたのもこれでつじつまが合う。
「そうなんですねぇ~。」
俊成はあの頃からかわいらしかった。
しかし、僕にとってはそんなことなど大した問題ではなかった。
「グループ名は『Master』。アイドル界を統べるぐらいの勢いでいきたいというコンセプトでつけた。」
「はい。分かりました!ありがとうございます。」
昂が嬉しそうにそう言う中で、僕は佳代の目をずっと見つめていた。


