僕はその笑顔に心を奪われた。 初めての感覚だった。 19歳にして初めての恋だった。 それから僕が佳代に告白するまで、時間はかからなかった。 「……好きです。」 「……私も奏ちゃんのことが好きだけど、ダメだよ。年が離れすぎてるし、それに……」 「関係ないよ。僕は佳代と一緒にいたい。」 「……奏ちゃん。」 僕はあの時、ただ真っ直ぐに佳代を見つめていたはずだった。 『Master』デビュー前の夏の出来事だった。