「……良介は幸せ者だな。」
しばらくしてからそう言うと、カレーをゆっくりと口に運んだ。
「……光樹も幸せになってよ。」
「……そうだな。俺もいつまでも何もしないなんてカッコ悪いもんな。」
そう言った光樹の笑顔が、少し痛かった。
「何かあったら、必ず報告するよ。」
「……うん!」
……私にできることはほとんどないかもしれないけれど、せめて唯一の幼なじみの大切な光樹の幸せを、祈っていたい。
「食べちゃおう。冷めちゃうし。」
「……うん。」
それからは、なごやかな空気に包まれながら、夕食は進んでいった。


