あんなこと言うつもりじゃなかった。
里奈が苦しんでて、どこからどう見ても幸せなのに、良介がアイドルだったりして色んなしがらみが絶えない里奈を見てたら我慢できなかった。
……俺って、弱い男だな。
「光樹?あんた学校は?」
勢いにまかせて家に帰ると、母さんが俺を見つけるなり怒鳴ってきた。
……そりゃそっか。こんな時間に帰ってきたんだから。
「早退した。」
「早退って……どこか具合でも悪いの?」
「寝れば治るから。」
それだけ言うと、部屋に飛び込んだ。
部屋に差し込む光が無性に眩しくて、美しくて、思わず涙がこぼれた。
本当は声をあげて泣きたかったけど、聞かれるとまずかったから、
声を押し殺しながら泣いた。
こんなに泣いたのはいつ以来だろうと思うくらい泣いた。
……里奈。人を想うって、こんなにも辛いことなんだよ。


