俺は、ミラの後を歩いていた。ミラの後を歩くのが精一杯。

弘樹「しかし、何も見えないな…」

ミラ「はい、いつもこんな感じですよ。」

ミラは松明。俺はケータイ(流石に電波も圏外。)片手に洞窟を歩いていた。

ミラ「もう少しですよ。」
すると、外から光がさしてきた。

弘樹「ウソだろ……」

目の前には、翼を生やした人。いわゆる天使が飛んでいた。

ミラ「さ、早く、天使を捕まえて…て言っても、一人呼べばすぐに来るよ。ちょっと勇者様、耳を貸して下さいまし。」

『ごにょごにょっ』

それで来るのかよ…。

とりあえず言ってみるか…

弘樹「おーい、天使さーん。時を動かす手伝いをしてくれー。」

『パサッ』

本当に来たよ…もう、何がなんだか…

ミラ「さ、天使さん来たよ。早く。」

弘樹「え?早くって、この後は?何も聞かされてないけど?」
ミラ「あ、そっか勇者様に言ってませんでしたね。」

弘樹「まだあったのかよ…さっさとしてくれよ。」

ミラ「じゃあ…」


ミラ「殺して。」


え?殺す?何を?ミラを?まさか、天使を?

ミラ「ほら、早く。目の前に武器も置いてあるでしょ。」

俺の前には小型のナイフがあった。

要するにこれで見知らぬ天使を殺すのだろう。

弘樹「…なこと、できるかよ…」

ミラ「早く!」

弘樹「できねえよ!!」

ミラ「早く!あの天使を殺せ!!」

弘樹「嫌だ!」

ミラ「あなた達の世界が、どうなってもいいの?」

弘樹「………。」

確かに、元の世界は時が止まってる。だからと言って、見知らぬ天使を殺してもいいのか?

弘樹「悪い、ミラ。俺には天使を殺す事はできな……」

ミラが泣いてる。そうか、何回も同じ事の繰り替えしだっけ。