すると、彼女はくるりとこちらの方を見て言った。
「だから、最後の思い出を作りたかったの。」
末安の瞳が、潤んでるように見えた。
「・・・帰ろうか。」
まだ、足が動かなかった。
僕はこのままでいいのか?
僕の思いを伝えないでいいのか?
彼女を悲しませても――。
「末安!」
僕はその場で叫んでいた。
彼女は振り向く。
僕は、彼女の方に駆け寄った。
今こそ伝えるべきだと思ったから。
たとえ、この出来事すら忘れてしまうとしても。
「ごめん。今まで僕の気持ちを明かさなくて。言えない理由があったんだ。」
その理由を教えることは出来ないけど、この気持ちだけは、君に――。
「僕も末安が好きだよ。」
その刹那、僕たちは光に包まれた。

