その日,僕は死んだ。
「痛い」とは思わなかった。
―あまりにも一瞬の事だったから。
目が覚めると、真っ白な服を着た人が目の前に立っていた。
「必ずやり遂げて見せます。」
僕はその後、此処が天界という場所だという事、そしてそのシステムを教えてもらった。
どうやら此処は、他人の為に死んだものだけがたどり着く所らしい。
―僕は、車道に飛び出した女の子を庇って死んだ。
だから此処にいるのだ。
そして、此処にきた者は、もう一度生き返ることの出来るチャンスを与えられる。
その条件は、不幸な人を幸せにすること。
一度、地上に降ろされ、指定された人を幸せにしなければならない。
しかし自分がその様な身だということは話してはいけないし、生きていた頃に出会った人とは関わってはいけない。
それに、生き返ることが出来たら、天界の事を全て忘れてしまう。
勿論、そうして関わった者たちもだ。
そして、僕は再び地上へと降ろされた。