顧問と私たちと旅行部な時間

 その点、立体曼荼羅は文字道り、絵画ではなく立体の仏像で表現した曼荼羅だ。

 それが京都東寺、別名教王護国寺の講堂の中にあり、帝釈天半跏像もいるのだ。


 本には講堂にある21体ある仏像の写真と、その仏像を紹介すると言った内容になっている。

 まず、最初はいわゆるよく見かける「仏」の姿をした五智如来の1人、立体曼荼羅の中央に立つ大日如来から始まり、五菩薩、五明王、それらを守護する四天王と帝釈天、梵天と続いている。


 ページをめくる毎に、惚れ惚れするような仏像たちが姿を現し、琴子の気持ちを高揚させる。


 そして、帝釈天のページを開いた途端、大きな目をさらに大きくしてそれを見た。


 ――す、ステキ!


 像のような生き物の上に鎮座する帝釈天の全身像から始まり、仏像界のどの仏像よりも凛々しくハンサムなその帝釈天の顔を、見事な撮影技術で写されていた。


 ページを更に捲ってみると、帝釈天の特集がやっていた。


 ――帝釈天様! いつか、いつかはあなたを目の前で……。


 帝釈天の特集を読み進めているうちに、気分は高揚して、いつの間にか息づかいが荒くなっていた。