顧問と私たちと旅行部な時間

「いいのいいの。今日は運命の出会いを祝福して、あたしからの奢りよ」


「運命の出会い?」


 いろいろと分からないことだらけの綾海の頭の中は、クエスチョンマークで埋め尽くされていた。


「まずは自己紹介ね。私は1年3組の八坂那歩。那歩って呼んで」


「私は1組の小原綾海」


「いろいろと知ってるわ。勉強ができて、スポーツ万能なんだってね」


「何でそんなこと」


 最初に出会ったとき、名前で呼ばれたこと、自分がほどほどに勉強、スポーツができることを知っている彼女に驚いた。
 驚くと言うより、むしろ、怪しんだ。


「で、本題なんだけど」


 那歩はコーラに差し込まれたストローを口に咥え、勢いよく飲み込んだ。


「旅行部に入らない?」


「えっ、旅行部? そんな部あるの?」


 そんな部活があるとは知らなかった。部活リストにもそんな部は書かれていなかったからだ。