――は、恥ずかしいなんて言ってられないです!
まるで好きなアイドルの写真集を買うのが恥ずかしがるウブな少女のようだが、目的の本は仏像の作品である。
意を決して目的の本の前にさしかかった時、隣に中年の男性が入ってきた。それに気づき、慌ててそのまま通りの奥へ足早に歩いていった。
監視カメラが怪しげな琴子の動きを終始見ている。
中年の男性が1冊の本を手に取り、レジに向かって歩いていった。
念入りにレジが空くのを見届けると、目的の本に向かって突進した。
――取った!
躊躇なく『立体曼荼羅の世界』を棚から抜き出し、胸に抱えるようにしてレジへと走った。
「お願いします!」
顔を真っ赤にして突き出すその本を手に取り、男性店員は小さな笑みを浮かべてバーコードを読み取った。
――わ、笑われた!
きっと営業スマイルであろうが、今の琴子には「若い子がこんな本を買って」と思われたと思い、赤い顔をさらに赤くした。
まるで好きなアイドルの写真集を買うのが恥ずかしがるウブな少女のようだが、目的の本は仏像の作品である。
意を決して目的の本の前にさしかかった時、隣に中年の男性が入ってきた。それに気づき、慌ててそのまま通りの奥へ足早に歩いていった。
監視カメラが怪しげな琴子の動きを終始見ている。
中年の男性が1冊の本を手に取り、レジに向かって歩いていった。
念入りにレジが空くのを見届けると、目的の本に向かって突進した。
――取った!
躊躇なく『立体曼荼羅の世界』を棚から抜き出し、胸に抱えるようにしてレジへと走った。
「お願いします!」
顔を真っ赤にして突き出すその本を手に取り、男性店員は小さな笑みを浮かべてバーコードを読み取った。
――わ、笑われた!
きっと営業スマイルであろうが、今の琴子には「若い子がこんな本を買って」と思われたと思い、赤い顔をさらに赤くした。
