顧問と私たちと旅行部な時間

 当然、先ほどのテニス部のように、鼻を伸ばしながら、その目は女子に釘付けというのは、綾海にとって面白くなかった。


「帰宅部ナメんな。親友との友情を深める、大事な部なんだからな」


「はいはい……」


 長い坂を下り、2人は商店街に出た。
 商店街を出てしばらくすると、前方に見える看板を見て、綾海は隣にいる祐樹を見上げた。


「ねぇ、本屋寄ってこうよ」


「あぁ、そうだなぁ。チャンプの発売日だったなぁ」


 本屋に入ると、祐樹は少年誌のコーナーへ、綾海は旅行雑誌のコーナーにそれぞれ向かった。


 しばらくして、綾海は伊豆の旅行雑誌を持って、うれしそうに祐樹に駆け寄った。


「ねぇねぇ、祐樹祐樹! この温泉見てよ!」


「ん?」


 そこには海を見下ろせる絶景の露天風呂が映っていた。


「ここ、サイコーだとおもわない?」