顧問と私たちと旅行部な時間

「あ~」


 綾海は悔しそうに声を上げたが、顔は笑っていた。


 綾海を囲む先輩たちだったが、そんな固まりを邪魔そうに祐樹は上半身を反らした。


「もう少しでパンチラ見えたのに」


 綾海のいた隣のコートにいた女子ダブルスを眺めていた祐樹だったが、綾海たちに邪魔されたのだった。


「それにしても、ここのテニス部は最高だな。しっかりとスコート履いてくれるんだから」


 鉄網を両手で掴み、女子テニスを真剣に眺めている。しかし、その顔はにやけている。


「おい!」


 いきなり、目の前に見慣れた顔が現れ、祐樹はたじろいだ。


「うぉ、綾海!」


「男子テニスじゃなくて、女子テニス見学して何をしてるの!」


 うるさそうに耳を掻き、鉄網越しに綾海に言った。


「スコートから見えるパンツ。男の夢が分からないのか」


「分かるか!」