耕二は再び椅子に座り、机上のプリントから1枚手に取った。
「面白いのがこれだ」
「な、何これ……」
そのプリントを見て愕然とした。
それには文字ではなく絵が描かれていたのだ。それも落書きというレベルではなく、濃淡による写真のようなリアルに描かれた仏像の絵だった。
「奈良興福寺の阿修羅像。京都西往寺の宝誌和尚(ほうしおしょう)立像」
顔が三面。手が六本の阿修羅像はあまりにも有名な仏像だ。
それ以上にインパクトがあるのが宝誌和尚立像だった。顔が真っ二つに裂かれ、そこからもう1つの顔が現れているのだ。
その仏像は、何の心構えをしていなかった那歩にとって、強烈なインパクトを与えた。
「その濃淡。驚くことにボールペンで描かれている」
「そうだよね? 鉛筆じゃないよね、これ」
ボールペン1本で写実的に描いているのだ。これは職人というレベルである。
「見ても分かるが、描かれているのは仏像だけでじゃない。
栃木――日光東照宮の龍馬(りゅうば)。沖縄の首里城。宮城県――伊達政宗の霊廟、瑞鳳殿(ずいほうでん)。
この小さなプリントに、よくこれだけの多くの仏像、建造物を描いたものだと感心させられる」
「面白いのがこれだ」
「な、何これ……」
そのプリントを見て愕然とした。
それには文字ではなく絵が描かれていたのだ。それも落書きというレベルではなく、濃淡による写真のようなリアルに描かれた仏像の絵だった。
「奈良興福寺の阿修羅像。京都西往寺の宝誌和尚(ほうしおしょう)立像」
顔が三面。手が六本の阿修羅像はあまりにも有名な仏像だ。
それ以上にインパクトがあるのが宝誌和尚立像だった。顔が真っ二つに裂かれ、そこからもう1つの顔が現れているのだ。
その仏像は、何の心構えをしていなかった那歩にとって、強烈なインパクトを与えた。
「その濃淡。驚くことにボールペンで描かれている」
「そうだよね? 鉛筆じゃないよね、これ」
ボールペン1本で写実的に描いているのだ。これは職人というレベルである。
「見ても分かるが、描かれているのは仏像だけでじゃない。
栃木――日光東照宮の龍馬(りゅうば)。沖縄の首里城。宮城県――伊達政宗の霊廟、瑞鳳殿(ずいほうでん)。
この小さなプリントに、よくこれだけの多くの仏像、建造物を描いたものだと感心させられる」
