「君は、旅行が好き?」 「私はこの日本が好き。ビックリするほど素敵な景色があるから」 「もし、君も素敵な景色に興味があるなら、入ってみない?」 当時の部長の女性から言われた言葉だった。 彼女の澄んだ瞳に、いろんな景色が見えた。 幾重も分かれて落ちる滝、夕日に照らされた古刹、闇夜の妖しげに浮かび上がる山車。 憧れにも似たそれらの景色を、彼女なら見せてくれる。そんな気がした。 それが、十数年前、彼が旅行部に入るきっかけだった。