赤い狼 弐








「それがあるんだよねぇ。俺等的には、稚春が居なくなったら困るの。」



「…私、居なくなりませんよ?」



「稚春にその気がなくても《VENUS》の奴等は俺等《SINE》から稚春を奪う気満々だと思うよ…?」



「…え?そんな事、無いと思うけど。」



「そうかな…?じゃぁ稚春、あいつ等に何かされたりとかしなかった?」



「何かって?」



「抱きつかれたりとか。」



「え。されたけど…そんなもの、連とか奏とかしょっしゅうしてくるし…別に良くない?」



「良くねぇよ。」




稚春ちゃんの言葉に隼人が素早く反応した。とても不機嫌な声で。




「…やっぱり、されたんだね。」




棗は空を仰ぎながらやれやれ。と小さくため息をついた。




「気に入られたみたいだね…。他には…?」



「他…?」




稚春ちゃんは小さく呟くと、考える体勢に入った。




そして、暫く考えた後…




明らかに何かありました。


というように顔を赤くした。



…ぜってぇなんかあったな…。




「…稚春、何かされたの?誰に………されたの?」




棗は優しく稚春ちゃんに問い掛ける。でも、声は優しいが、目が笑っていない。




…おいおい。稚春ちゃんにそんな表情見せんなよ。



稚春ちゃん、怖がってんじゃん。





…まるで脅しだな。