「赤の七番、起動完了、発進準備よし」

 魔操士の念波が、管制塔へ飛ぶ。

「管制塔、了解。
天測状態よし、航路異常なし、離陸を許可する」

 管制官の念波が返ってくる。

「赤の七番、了解。
これより離陸する」

「管制塔、了解。
幸運を祈る」

「ありがとよ」

 魔操士は、魔憑攻殼の収納していた羽を広げ、一気に飛翔した。

 開封士の詠唱が高まり、第二段階詠唱が始まる。

 詠唱と同時に、封魔球に掛けられた封印がさらに一段階開封され、魔憑攻殼に憑依している魔の力がさらに強まった。

 魔操士は、それを体に流れ込んでくる高圧の気で察すると、機体を一気に二〇〇パイクまで上昇させ、目標戦域の方角へ加速を開始した。

 通常の哨戒行動ではない。

 反乱勢力の拠点を探るための強行偵察任務だ。

 魔操士は拡張された魔導知覚場を一杯に展開して、すべての情報を開封士を通し念波で基地へ送らなければならない。

 反乱勢力には、魔憑攻殼に対抗する装備が確認されていないが、確認されていないからこその強行偵察であり、装備がないからと言って対抗手段がないとは言えない。

 現に、二体の偵察型魔憑攻殼が撃墜されていた。