激しい圧搾空気の音と共に、胸部装甲が上に開き、操室があらわになった。

「凛、大丈夫か」

 狼藍は、すぐ頭の上の魔操士席に駈け上がった。

 そこには、魔操中に身体が暴れないように、拘束帯で席に固定された凛の姿があった。

 拘束帯は両手両足胴の五ケ所。

 更に頭部は、両目を覆うアイマスクのついたヘッドギアで保護されていた。

 魔との共感を増すために、肌の露出の多い短衣姿が艶めかしい。

 シートのすぐ下に、封魔球の漆黒の表面が見えていた。

 全身の肌が紅潮し、汗で濡れていた。息は落ち着いているようだ。

「凛、しっかりしろ」

 狼藍の声に反応し、凛は顔を向けた。

「んく、狼藍か」

「よかった、気が付いた」

 そう言いながら、狼藍は凛の右腕のへ拘束帯を外した。

「ありがと」

 少しかすれた声で、凛は礼を言った。

 自由になった右手で凛は素早く左腕の拘束帯を外し、そして両手でヘッドギアを脱いだ。