あり得ない。

　開封士は、突然現れた鎧武者型の魔憑攻殼に自分の理解を越えた恐怖を感じた。

　開封士の動揺を感じ取った魔操士は、即座に言った。

「対魔憑攻殼戦闘開始、全兵装を開放」

　その言葉で、開封士の軍人である思考回路が働き、瞬時に冷静さを取り戻す。

　そして、第三段階詠唱と共に、全兵装を魔に認識させ、開放した。

　魔憑攻殼の両手の爪が、緑色に染まる。

　同時に、鎧武者型がその太刀を撃ち込んできた。

　上段から振り降ろされた深紅の刃を右手の緑の爪で受け止める。

　強大な力と力がぶつかり合い、轟音と衝撃波を周囲にばらまく。

「緑の固有色！」

「深紅の刃だと！」

　二人の魔操士は、互いに打ち合った瞬間に相手の固有色を認識した。