「どうした、管制塔。
こちら赤の七番」

 開封士は、中継器を調節しながら再度言った。

 しかし、それに応えるものは無かった。

「おかしい、中継器は正常に作動してるんだがな」

「おい」

 緊張に満ちた声で、魔操士は開封士に声をかけた。

「どうした」

「何か、来た」

「なにが……」

 魔操士は、攻殻の視覚を自分の視覚として直接見ているが、開封士は席正面にある水晶球に視覚を表示しなければ、外の様子を伺い知る事は出来なかった。

 開封士は、即座に中継器回りの情報表示から、視覚表示に切り替えた。

「な、なんだ、あれは。
攻殻か……」

 その水晶球に映し出されたのは、深紅の太刀を手にした鎧武者型の魔憑攻殻だった。