美樹ちゃんが私の鞄と着替えを持ってくる、と保健室から出ていって暫くして、それを持ってきたのは佐野君だった。
「美樹ちゃん用事があるんだって…奏をきちんと家まで送るように頼まれたんだけど…」
「…え?そうなんだ…」
……美樹ちゃん…
それは嬉しいんだけどね?
明らさまにやられると、恥ずかしいんだけど…
佐野君はベッドに鞄と制服を置いて、カーテンを閉めてくれた。
「…着替えて」
「…うん」
体育の授業を選択してないので、体操着は持っていない、佐野君も赤いTシャツを着ていた。
そう言えば頭のタオルも赤かったな、赤色好きなのかな?
体操着代わりのピンクのTシャツを脱ぎ、ブラウスを着ようと手を伸ばしたら、ベッドの端からブラウスが下に落ちてしまった。
ベッドの上に座ったまま手を伸ばし、下に落ちたブラウスを拾おうとしらた、グラリと目眩がして、
………あれ?…
−ドサッ!
ベッドから落ちてしまった。
「!…奏っ?」
シャッ。
とカーテンを開ける音がして、佐野君が中に入ってきて。
私は咄嗟にブラウスを掴み、身体を隠す。
「…落ちたの?大丈夫?」
佐野君は私の肩を抱き、起き上がらせてくれた。
「…ちょっと目眩がして…もう、大丈夫…」
「……肩…どうしたの?」
佐野君は私の肩のアザを眉をひそめて見ていた。
「…ああ。これ?転んでぶつけちゃったの、私って間抜けだから、よく転ぶんだ、あはは」
「…転んだ?」
「うん…」
佐野君はまだ繁々と私の肩を見つめつていて、ブラウスで前だけ隠していいるけど、私はほぼ上半身裸だと言う事に気付き、急に恥ずかしくなり、顔が熱くなった。
「…あの…佐野君…着替え…たいんだけど…」
「…えっ?わっ!ごめん!」
慌てて佐野君はベッドから離れて、カーテンを閉めた。
「ホントにごめん…急に音がして、奏がどうかしたかと思って…だから、決して、わざととかじゃ、ないんだ…ははは…」
佐野君?
もしかして焦ってる?
いつもポーカーフェイスで、クールな佐野君が?
……なんか…可愛い…
ふふふ。

