◆◆◆
「かなちゃん!」
「奏っ!」
俺は急いで奏に駆け寄り、奏の友達(確か美樹)の膝に倒れ込んでいる奏の身体を起こした。
「どこぶつけたの?」
奏の肩を抱き、起き上がらせて、美樹に聞いた。
「…ボールが飛んできて…後ろの壁に頭をぶつけたみたい…」
「…そうか…とりあえず保健室運ぶから」
奏の背中と足に手を回し、抱えて立ち上がると、体育館を出た。
「あ、あたしも一緒に行く!」
後ろから慌てて美樹が追い掛けてくる。
廊下を足早に歩き保健室へと向かう。
手を使うのももどかしく、足で保健室の扉を開け中に入る。
「せんせー?」
声をかけるが誰も居ない様子。
何やってんだよここの養護教員は、いつもいつも留守しやがって。
とりあえず奥のベッドに奏を運び、後頭部ぶつけたみたいって言ってたから、横向きに寝かせてやる。
「…奏?」
頬を軽く叩き声をかけてみる、微かにピクリと反応した。
よかった。
多分軽い脳震盪だろう。
奏の頬にかかる髪を後ろに流してやる。
指の隙間から、奏の艶のある黒髪がサラサラとこぼれ落ちる。
そう言えば髪に触るの初めてじゃん…
…はは。
こんな状況でなんだけど、ラッキー。
すまん、奏…
「はぁ…佐野君…速すぎ…」
美樹が扉に手をかけ、肩で息をしていた。
「…あのさ?先生居ないみたい、多分職員室、美樹ちゃん悪いけど、呼んできてもらえる?」
「…ほぇ?先生居ないの?」
「うん。俺、氷枕とか用意するから…お願い」
美樹はベッド近付いてきて、奏の顔を覗き込んだ。
「…かなちゃん、大丈夫?」
「うん。多分軽い脳震盪、あと少し顔色も悪いみたい…寝不足かな?…」
手が自然と奏の前髪をかきあげた。
やっぱり顔色悪いな…
奏痩せてるし…貧血かもしれない。
練習なんて止めとけばよかった。
「…じゃ…あたし、先生呼んでくるね?それまでよろしくね?佐野君」
「うん。わかった」
美樹が出ていくと、勝手知ったる保健室。
冷凍庫から氷枕を出し、タオルで繰るんで奏の頭を持ち上げ、頭にあててやっていると、
「人の彼女に馴れ馴れしく触らないでくれる?」
「かなちゃん!」
「奏っ!」
俺は急いで奏に駆け寄り、奏の友達(確か美樹)の膝に倒れ込んでいる奏の身体を起こした。
「どこぶつけたの?」
奏の肩を抱き、起き上がらせて、美樹に聞いた。
「…ボールが飛んできて…後ろの壁に頭をぶつけたみたい…」
「…そうか…とりあえず保健室運ぶから」
奏の背中と足に手を回し、抱えて立ち上がると、体育館を出た。
「あ、あたしも一緒に行く!」
後ろから慌てて美樹が追い掛けてくる。
廊下を足早に歩き保健室へと向かう。
手を使うのももどかしく、足で保健室の扉を開け中に入る。
「せんせー?」
声をかけるが誰も居ない様子。
何やってんだよここの養護教員は、いつもいつも留守しやがって。
とりあえず奥のベッドに奏を運び、後頭部ぶつけたみたいって言ってたから、横向きに寝かせてやる。
「…奏?」
頬を軽く叩き声をかけてみる、微かにピクリと反応した。
よかった。
多分軽い脳震盪だろう。
奏の頬にかかる髪を後ろに流してやる。
指の隙間から、奏の艶のある黒髪がサラサラとこぼれ落ちる。
そう言えば髪に触るの初めてじゃん…
…はは。
こんな状況でなんだけど、ラッキー。
すまん、奏…
「はぁ…佐野君…速すぎ…」
美樹が扉に手をかけ、肩で息をしていた。
「…あのさ?先生居ないみたい、多分職員室、美樹ちゃん悪いけど、呼んできてもらえる?」
「…ほぇ?先生居ないの?」
「うん。俺、氷枕とか用意するから…お願い」
美樹はベッド近付いてきて、奏の顔を覗き込んだ。
「…かなちゃん、大丈夫?」
「うん。多分軽い脳震盪、あと少し顔色も悪いみたい…寝不足かな?…」
手が自然と奏の前髪をかきあげた。
やっぱり顔色悪いな…
奏痩せてるし…貧血かもしれない。
練習なんて止めとけばよかった。
「…じゃ…あたし、先生呼んでくるね?それまでよろしくね?佐野君」
「うん。わかった」
美樹が出ていくと、勝手知ったる保健室。
冷凍庫から氷枕を出し、タオルで繰るんで奏の頭を持ち上げ、頭にあててやっていると、
「人の彼女に馴れ馴れしく触らないでくれる?」

