放課後。
美樹ちゃんに昨日のお礼を言うために、私は図書室へと向かった。
扉を開け中に入ると、美樹ちゃんがカウンターの中から私にニッコリと笑顔を向けて手を振っていた。
私はカウンターの中に入り、美樹ちゃんが座る椅子の隣に腰を下ろす。
「かなちゃん、風邪?」
「…うん。美樹ちゃん、昨日はありがとう、無理言ってごめんね?」
「…今朝、佑樹君に聞かれたよ?昨日何してた?って、かなちゃんが言った通りにうまく言っといたから」
やっぱり美樹ちゃんに聞いてきたんだ…
よかった…美樹ちゃんに頼んでおいて…
「…ありがとう、美樹ちゃん…」
「?…かなちゃん?ちょっといい?」
言うと美樹ちゃんは私に顔を近付け、マスクを外した。
「…やっぱり腫れてる、どうしたの?」
「何でわかったの?」
「近くで見ると、赤くなってるみたいだったから…」
「…昨日…佑樹とケンカしちゃって…」
「…で?叩かれたの?」
「…うん」
「…酷…いくらなんでも…叩くなんて…」
「…仕方ないよ…私が悪いんだから…」
私は腫れた頬に手をあてうつ向いた。
「…何があったの?昨日の事と…関係してる?」
言葉に詰まってしまった。
自分から頼み事しておいて、その理由を話さないんてやっぱりダメだよね?
美樹ちゃん…私の事、親友って言ってくれた。
それなのに私は自分の都合の為に、美樹ちゃんに嘘をつかせてしまった。
なんて自分勝手な人間なんだろう…
「…あ、ごめん、言えないって言ってたよね?でもね?あたし心配なんだよ…かなちゃんの事…昨日のかなちゃん…いつもと違ってなんか、必死だったし…それに…叩かれたなんて…あたしに出来る事があるなら何でも協力する、だから、一人で悩まないで…」
私は思わず美樹ちゃんに抱きついた。
「…ありがとう。美樹ちゃん…」
でもね?本当の事言ったら美樹ちゃんは多分、私の事、軽蔑するかもしれない。
彼氏が居るのに他の人好きになって…
浮気でもいいから側に居たいなんて…普通じゃ考えられないもんね?
それでも私の友達で居てくれる?
「…あのね…美樹ちゃん…私…」

