バッシュの音を響かせながら、試合前のアップをする選手達を観客席から見下ろす。
周りの観客達は、横断幕や旗や飾り付けを施した団扇(ウチワ)やペットボトル。
これから始まる決勝リーグの応援の為の準備に余念がない。
いよいよ始まるんだと言う緊張感と、やっとここまでたどり着いたんだ言う高揚感が、当事者でもない俺にも伝わってくる。
スタンドプレーをしてパフォーマンスを見せる目立ちたがりなヤツも居れば、ひたすらシュートの練習をしている選手も居る。
それぞれ思う事はひとつ。
ただひたすら勝つ事だけを考えていた、二年前の出来事が脳裏に蘇ってくる。
今アップしている選手達を見ていてると、毎年確実にレベルが上がっている事を実感せずにはいられない。
明らかに2メートル超えの選手も居る。そんなヤツがゴール下に立って居るだけでも、それだけでかなりの守備力になる。
リョータ達にはそこまでの高さはないけど、それを補うスピードとスタミナがある。
高田先生は基礎体力と基本動作にはとくに厳しく指導していたから、どんなに激しく動いていても、的確な判断でブレないプレーが出来る筈だ。
視界の隅にリョータ達の姿が入口から入ってくるのが見えた。
ユニフォームは赤。
それぞれ軽く屈伸してボールを弾いてコートの中へと駆け出す。
さして緊張もいていないみたいで、柔軟でいい動きだ。
だてにここまで勝ち進んできた訳じゃないのが、その動きだけでもよくわかる。
頑張れよ。
お前らなら絶対優勝出来る。
ここでその瞬間を見届けるから。

