まりあちゃんを乗せた車を見送って、私は佐野君に。


「あの…、佐野君…久し振り…だね?」


上手く言葉が繋がらなくて、たどたどしくそう言うと、佐野君はゆっくりと私の方を見た。


「……10日振り位?かな?」


私を捉える佐野君の視線に、鼓動が一瞬跳ね上がる。


なんだろ?これ……?
私…緊張してる?


「奏さん。誰?この人…もしかして、彼氏?」


向かい合わせる私と佐野君の間に、マサキ君の声がして。


「え…?ちっ、違うよ。学校の友達だよ。同じクラスの」


ちょっと図々しかったかな?
友達、って言ってもいいよね?佐野君。


なんて考えながら、佐野君の反応が気になって佐野君を見てみると、そな表情は何時もの佐野君じゃないみたいで、無表情、と言うか、読み取れない顔付きで、私は自分が言った言葉に自信がなくなってしまった。


どうしたの?佐野君?
私達……友達、だよね?


「……うん…、友達、だよ」


佐野君がそう言ってくれたから、私は自分の思い違いなんかじゃないんだと、ホッとして安心した。


「お前はマサキ、だろ?洋ちゃんから聞いてる」

「え?洋介さんの知り合いなの?それなら早く言ってよ」


洋介さんの名前が出ると、途端に警戒心が薄れたのか、マサキ君は笑顔で佐野君を見上げた。


そんなマサキ君の頭に軽く手を置き佐野君は。


「期待の新人だってさ。洋ちゃんが言ってた。バスケ頑張れよ」

「期待の新人って…まだ始めてもないのに…」

「ははは。大丈夫、洋ちゃんの言う事には間違いない」

「そうかなー…、プレッシャーだなー」


二人の会話は初めて会ったにも関わらず、とても打ち解けたもので、以前体育館で洋介さんとマサキ君に感じた、繋がりみたいなものが感じられて、それは部外者の私には、ちょっと羨ましくもあった。


佐野君もバスケットをやっていたから、二人の気持ちがよくわかるんだね。