マサキ君の心に希望を与えたのは洋介さんで、癒しを与えたのはまりあちゃん。


私もマサキ君の役にたてるような、そんな素敵な人にりたい。


私は今まで自分の事ばかりで、誰か他の人の役にたちたいって思った事なんかなかった。


それを無自覚でやっているまりあちゃんは、ホントに天使みたいで、短い間だったけど、ここでの出会いは、事故で怪我をして入院してしまったけれど、それと引き換えにしても、私にとっては、掛け替えのないものになった。


「まりあちゃん。私もまりあちゃんのお姉ちゃんになってもいいかな?」

「ホントに?」

「うん」

「わぁい!まりあうれしー!」

「じゃあ、俺は奏さんの弟になるのか……」

「私がお姉ちゃんじゃ嫌かな?」

「え?い、嫌じゃないっ」

「まりあ達きょうだいだねっ!」


可愛い弟と妹が出来て、私も嬉しい。


「よかったわねー、まりあ。あ…パパが来たわ」


ロビーの自動ドアの外には車に乗ったまりあちゃんのパパが、此方に向かって手招きしていて、まりあちゃんは車椅子から降りると杖を着いて立ち上がる。


まりあちゃんのママがロビーの車椅子置き場にそれを戻し、私達も一緒に外に出た。


自動ドアが開くと一気に気温が上がり、蝉の羽音がうるさい程。


ウインドウを開けてまりあちゃんのパパが顔を覗かせると。


「奏さん、マサキ君、色々とありがとうね」

「いえ、此方こそ」

「うん。随分世話したよ」

「あはは。二人とも元気でね、今度うちに遊びに来なさい」


まりあちゃんが後部座席に乗ろうとしていた所で。


「あっ!」


何かに気付いたのか、車には乗らずに、ひょこひょこと歩き出してしまった。


「茜おにいちゃんっ!」