まりあちゃんのパパが両手に沢山紙袋を持って、そろそろまりあちゃんとお別れの時間。
名残惜しい私とマサキ君は、まりあちゃんを見送る為に、一緒に病室を出る事にした。
「足が治ったら。マサキくんの車椅子、まりあが押してあげるね!」
ママに車椅子を押してもらいながら、マサキ君の車椅子を押している私を振り返り、まりあちゃんがマサキ君にそう言うと、マサキ君は。
「まりあに押してもらわなくても、大丈夫だっつーの。それより、もう怪我するなよ?」
「うん!もう階段下りる時は走らないよ!」
まりあちゃんの怪我は、自宅の階段から落ちて骨折してしまったものらしく、そんな慌てんぼうのまりあちゃんが心配だけど、これからは階段も気を付けて下りるだろう。
こんなに小さいのに、痛かっただろうな……
受付の待ち合いロビーで、まりあちゃんのパパは車を回して来るからと、ひとり先に病院を後にして、私達は最後のお別れをする事に。
「奏ちゃん。無事に退院したら是非うちに遊びに来てね。マサキ君もね?」
「はい。お邪魔させていただきます」
「え?俺も?」
自身を指差すマサキ君に、まりあちゃんのママは優しく微笑むと。
「ホントはまりあね?マサキ君とお別れするのがいちばん寂しいんだから」
「ママ!それひみつー!しーっ!」
「ふふふ。前からお兄ちゃんが欲しいって言ってたじゃない。マサキ君がお兄ちゃんだったらいいなーって」
「もー!ママ言わないでっ!」
からかうように笑うママに、まりあちゃんは慌てた様子で両手をパタパタとさせていて、マサキ君は照れたように、頭をポリポリと掻いていた。
そんなマサキ君に私は。
「よかったねマサキ君。可愛い妹が出来て」
「……こんな、うるさい妹…いらないよ」
そっぽを向いて呟くマサキ君は、言っている事とは裏腹に、まんざらでもない様子。

