「俺ももう少ししたら、ここから退院するけどな」

「え?マサキ君退院するの?」


まりあちゃんの機嫌が直って、ホッとしたマサキ君がそんな事を言ってきたから、私はマサキ君にそう訊ねた。


「うん。リハビリ専門の病院に転院するんだ」

「…そっか、マサキ君まで退院しちゃったら、益々寂しくなるな…」

「まだ先の話だから、退院するのは奏さんの方が早いよ」


そうだよね……


私が後から入院してきたから、勘違いしそうになるけど、怪我の度合いはマサキ君の方が遥かに上だから、まだ暫くはここでの治療が必要なんだよね。


「リハビリ、頑張ってね。マサキ君」

「うん。俺、頑張るよ。洋介さんと約束したんだ。一緒に走ろうなって」

「マサキ君ならきっと洋介さんみたいになれるよ」

「え?そうかなー…、でも、目標は洋介さんだな。まだまだ全然届かないけどね。あはは」

「そんな事ない。マサキ君、毎日頑張ってるもん。あ。リハビリ病院に私お見舞いに来てもいいかな?」

「うん。来てよ、洋介さんも一緒に」

「まりあも行くー!」

「まりあちゃん。その時は私と一緒に行こうね」

「うん!」

「あっそうだ、奏さんが退院する前にアドレス交換しようよ」

「うん。いいよ」

「まりあもこうかんするー!」

「まりあ携帯持ってんのか?」

「まりあケータイ持ってないよ?」

「じゃあ、まりあの代わりに、ママが奏ちゃんのアドレス教えてもらおうか?いいかしら?奏ちゃん」

「はい。いいですよ」


なんて。お互いの携帯を出しあい、アドレスの交換をしていると、まりあちゃんのパパが会計を済ませて病室に戻ってきた。


「じゃ、帰るか。まりあ」

「うん!」