◇◇◇




洋介さんとおばあちゃんがお見舞いに来てくれた3日後。


今日はまりあちゃんの退院の日。


病室には、まりあちゃんのママと私とマサキ君。


まりあちゃんのベッド周りは綺麗に片付けられて、その代わりに、ベッドの上には大きな紙袋が数個。


今日はまりあちゃんのパパも来てくれて居るのだけれど、今は会計で治療費の支払いに行っていてここには居ない。


「奏ちゃん、今日までまりあがお世話になって、ホントにありがとうね」

「いえ、そんな事…私の方こそ、まりあちゃんには随分お世話になりました。退院するのは喜ばしい事だけど…、寂しくなっちゃいます」

「かなでおねぇちゃん、まりあがいないとさみしい?」

「うん…、寂しいよ、とっても…」


車椅子で私の側に寄ってきたまりあちゃんの頭を撫でてあげる。


「まりあ。おみまいに来るからね!」

「俺はうるさいのが居なくなって清々するけどね」


マサキ君もきっと私と同じ気持ちな筈なのに、そっぽを向いて憎まれ口を呟く。


「あっ!マサキくん!ひどーい!マサキくんのおみまいには来てあげないもんっ」

「おー。結構だよ」

「けっこうって何?マサキくん」

「出た…、まりあの何で病が」

「ねーねー。けっこうってなーにー」

「あー…めんどくせーなー。あのな?結構って言うのは、もうそれでいいって事」

「それでいい?マサキくんは、まりあが…おみまいに来なくても…いいの…?」


途端に泣きそうな表情になるまりあちゃんに、マサキ君は慌てた様子で。


「ちっ、違う。泣くなっ、じょ、冗談だよ!」

「じゃあ。おみまいに、来てもいいの?」

「お、おうっ、どんと来い。何時でも来い。毎日来い」

「うんっ!毎日来るよ!」

「え……?いや…毎日は…」


詰め寄るまりあちゃんにマサキ君はしどろもどろで、そんな二人の兄妹みたいな可愛いやり取りに、私とまりあちゃんのママは目を見合わせて、お互い笑ってみせた。