そうなんだ。


気付いてしまったんだ。


やっぱりバスケがしたいって……

だから俺はこんなにも焦っている。


一度それに傾きかけたら、自分でも、もうどうしようもなくて、でも奏を諦める事なんて出来ないから。


何とか奏を自分に繋ぎ止めて置きたくて、その為に佑樹の家にまで押し掛けて、こんな事を言ってしまってる俺は、あまりにも自分勝手過ぎる。


奏が俺の事を忘れてしまっているのに、佑樹と別れて、何年かかるかわからない俺の帰りを待っててくれ、なんて……


………そんな事……


全部俺に都合のいい、自分の為だけの、身勝手な言い分でしかない。


記憶を無くした奏にとって、今の俺がそこまでの存在なのか?


それ以前に、奏は俺の知らない所で、俺のアメリカ行きを納得していたって……


それはつまり、俺との事を終わらせるつもりだったって事なのか?


秘密の関係が辛かったって事なのか?


陰でコソコソと会わなくちゃならないし、何処かに二人で出掛けたいけど、周りの目を気にして、いつも俺のアパートばかりで会っていた。


それに二人で出掛ける時には、色々と周りに嘘をつかせてしまっていた筈。


それなのに俺は、ただ奏と一緒に居たいから、そんな奏の辛い心中を察してやれなかった。


……違うな。


ホントはわかっていた筈なのに、察してやろうとさえしていなかったんだ…


こんな自分の事しか考えていない俺に、奏を将来的にも幸せにしてやれる事なんか出来るんだろうか……


なあ……、奏…


……俺達は、もう……