検査を終わらせて病室に戻ると、そこに洋介さんとおばあちゃんの姿はなく、ベッドに眠るまりあちゃんだけがそこに居た。


私のベッドの上には、フルーツが沢山詰まった籠が置かれていて、確かに洋介さんとおばあちゃんがここに来てくれたんだと言う事はわかるけど……



マサキ君も居ないし、もしかしてマサキ君の病室に行ってるのかも。


病室を出てマサキ君の病室へと足を向ける。


「奏さん!」


後ろからマサキ君の声がして、振り向き見てみると。


「こっち!談話室に居るよ!」


手招きするマサキ君の方へと踵を返し、ふたりで談話室へと向かう。


「まりあ、寝てるから談話室に行っててもらった。はいコレ、チョコね」


マサキ君はセパレートタイプのチョコを私に渡してくれた。


「わあ、コレ私の好きなやつだよ。ありがとう、マサキ君」


チョコをポケットにしまうと、談話室に入り、中央辺りのテーブルに二人の姿を見つけて、私はマサキ君と一緒にテーブルに付いた。


「ごめんなさい。お待たせしちゃって…」

「検査はどうだった?」


おばあちゃんに聞かれて私は。


「レントゲンを撮っただけだから、まだ詳しくは…、でももう痛みも随分治まってるし、かなり良くなってきてると思います」

「そう、よかった…、早く退院出来るといいわね?」

「はい。あの、お見舞いありがとうございます」

「いいのよ、みんなで食べてね?」

「ハイハイ!俺、メロン!」


手を挙げてそう言うマサキ君は、よほどメロンが好きみたい。


「おまっ…、よりによって、いちばん高級なメロンを…、ガキはバナナでいいんだよ」

「えーっ?メロン食いたいよ!」

「あれは奏ちゃんへの見舞いなの」

「ちぇー…」


まりあちゃんの前ではお兄ちゃんなマサキ君も、洋介さんの前になると、年相応の可愛らしさが見えてくる。


「ふふふ。マサキ君、後でまりあちゃんも一緒にメロン食べようね?」

「うん!俺メロン大好物なんだ」

「マサキ、お前にもちゃんと見舞い持ってきたんだぜ」

「え?マジで?」

「おう」


洋介さんは屈むとテーブルの下に置いてある、大きめのスポーツバッグを取り出した。