「……スゲー、よくこれだけ集めたね…」


兄貴ばりのコレクションの山にそう呟くと。


「え?あ…、うん。あははっ」

「アキラはバスケヲタクなんだよな」

「ヲタクって言うなよ」

「はは。ごめんごめん。アキラは立派なプレイヤーだ」

「…だった。だろ?」

「今でもアキラは俺達のチームメイトだよ」

「……ありがと、洋介。嘘でも嬉しいよ……」

「嘘なもんか」

「相変わらずだな、洋介は…、で?今日は何の用事?」

「おっ、また忘れる所だった。コレコレ」


ヨースケはさっき俺に見せてくれた封筒を同じようにアキラに見せると。


「……五輪?もしかして……」

「うん。強化選手に選出された」

「やったじゃん!洋介!おめでとう!」

「まだただの強化選手ってだけだけとな」

「強化選手に選ばれるだけでも凄いよ…」

「うん。俺、頑張るよ」


−−コンコン…


「お茶持ってきたわよ−」


ノックの音がして、部屋に入ってきたのは多分アキラの母親。


「いらっしゃい、洋介君と…、あら、イケメン」


おばさんは俺を見るなりそう言った。


「お邪魔してます。俺、佐野って言います」

「初めまして。イケメン君。ゆっくりしてってね?」

「はい……、佐野ですけど…」

「あっ、おばさんお茶しか持ってこれなくて、おやつも用意してるのよ?洋介君。取りに来てくれる?」


どうやらアキラの母親は、あまり人の話を聞かないタイプらしい……


「うん。わかった、ちょっと行ってくる」


おばさんとヨースケが部屋から出ていくと、急に静かになってしまって、何か話そうと考えていたら。


「佐野君もバスケやってるんだよね?」

「え?……、あー…俺は、やってない」

「え?やってないの?」

「……うん。バスケは中学まで、今はやってない…」

「そっか…、洋介から佐野君は凄い選手だって聞いてたから…」

「……凄くなんかないよ…、洋ちゃん比べたら、俺なんか…」

「ははっ。確かに洋介は凄いよね」


アキラは枕元のボールを手に取ると、壁のリングに向かってボールを放った。


ボールはストンとリングに収まり、バウンドして俺の所に跳ねてきた。


それを片手でキャッチする。


「アキラ……君もバスケやってるの?」

「アキラでいいよ。うん。洋介と同じチームでやってたよ」