｢ご飯出来たわよー｣
｢おっ？飯だ。佐野､行こうぜ｣
ばあちゃんから呼ばれてリビングに戻ると、昼飯のいい匂いが俺の鼻を擽った。
ダイニングのテーブルに着くと、そこには久し振りの家庭料理。
｢うおっ♪しょうが焼きー♪｣
速攻で肉を食べ始めるヨースケにばあちゃんは。
｢こら。洋介、いただきますは？｣
｢いはらきま−ふ！｣
｢もう。お行儀が悪いんだから。茜ちゃんも､遠慮なく食べてね？沢山作ったから｣
｢うん。いただきます｣
しょうが焼きにサラダに味噌汁。
ばあちゃん手作りのキュウリの浅漬け。
食べ出したら胃袋が空腹を思い出してしまったみたいで、ばあちゃんの手料理はどれも旨くて箸が止まらない。
｢ばあちゃん。おかわり｣
｢俺も｣
｢ふふふ。はいはい｣
大盛りで三杯。
ヨースケと二人して炊飯器の飯を空にしてしまった。
｢デザート代わりにどうぞ？うちの庭で採れたの｣
白いプレートに､綺麗にカットされた冷やしトマトに岩塩を振りかけたもの。
正直。トマトはあまり好きな方じゃなかったけど、食べてみるとスゲー旨くて、気付けばそれもペロリとたいらげてしまった。
｢旨かった。ばあちゃん、ごちそうさま｣
｢お粗末様でした、茜ちゃん？これからもいつでもご飯食べに来てね？男の子は沢山食べるから、作るのも楽しいわ｣
｢うん。ありがと、ばあちゃん｣
｢佐野、これから時間あるか？｣
先に食べ終えたヨースケがお茶を啜りながらそう聞いてきて。
｢うん。夕方までなら｣
｢じゃあ、ちょっと付き合えよ｣
｢何？デート？｣
｢うん。海までドライブしょうぜ。って違う！練習付き合えよ｣
｢練習？うん。いいよ｣
｢あ。デートで思い出したわ。洋介､貴司に彼女か出来たんですって｣
｢え？それマジ？ばあちゃん｣
｢ホントよ､貴司からメールが来たもの､写真付きで｣
｢ちょ､ばあちゃん､それ見せて｣
｢いいわよ、ちょっと待っててね｣
ばあちゃんはキッチンのカウンターに置いている携帯を取りに立ち上がる。
貴司に彼女って……
……もしかして。
