外に出るとさっきよりも雨足は和らいでいたけど、西の方から微かにゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。
………奏。
大丈夫かな……
今何時だろうかと携帯を取り出し見てみると23時前。
とっくに面会時間は終わってしまっている。
メール受信のアイコンが標示されていて、開いて見るとヨースケからのメール。
『今夜も黒助はばあちゃんが預かるって
ちょっと話したい事があるから
明日ばあちゃんちに来てくれるか?
俺も今日ばあちゃんとこに泊まるからさ
午前中はちょっと用事で居ないけど
午後からなら何時でもいいから
待ってる』
だからシロだってば…、洋ちゃん。
携帯をパチンと閉じてポケットにしまう。
今日もシロはばあちゃんちか。
このところシロはばあちゃんちに入り浸りで、うちにはあまり帰ってこない。
深夜までシロ一匹だけで留守番させておくのは可哀想で、俺も助かるんだけど、こう何日も続くと、迎えに行こうにも帰宅するのは深夜だし、仕方なく甘えさせてもらっているけど、ばあちゃんに迷惑なんじゃないんだろうかと、流石に気が引けてしまう。
バイクを出して股がりメットを被る。
−−ゴロゴロ…
西の夜空を見上げてみると、分厚い雨雲の向こう側が、カッと一瞬光るのが見えた。
……こっちの方に近付いてきてるな。
キーを回してエンジンを掛ける。
二三度吹かしてクラッチを入れアクセルを回す。
雨の人通りの少ない夜の繁華街を、うちとは反対方向に向かってバイクを走らせた。

