『もっしも〜し。どしたの?佐野君』
「美樹ちゃん、今…、何処?」
『ん?まだ学校に居るよ?なかなか帰れなくて、あはは。もう帰ること』
「美樹ちゃん……佑樹の、ケー番知ってる?」
『………佐野君?……なんかあった?……何で、佑樹君の…』
「知ってるの?」
『知ってるけど……』
「教えて」
『ホントにどうしたの?佐野君…』
「いいから!早く教えて!」
『ちょっ…佐野君?何怒ってんの?』
「………ごめん…、教えて…、美樹ちゃん…」
奏が事故に遇った事。
総合病院に居る事。
奏の父親に連絡したいが連絡先がわからない事。
俺がそれを話すと美樹は。
『わかった。佑樹君さっき見かけたからまだ学校に居ると思う、今すぐ知らせに行く。かなちゃんのお父さんに伝えてもらうから!あたしも病院に行くね!』
美樹はそれだけ言うと返事も聞かずに電話を切った。
俺は医師に。
「直ぐに、父親に連絡が行くと思います…」
「そう、わかりました。それから、奏さんのフルネームは?」
「奥村……、奥村奏」
「高校生ですよね?何年生?」
「二年、です」
「生年月日は?」
聞かれて初めて気が付いた。
俺は奏の誕生日すら知らないんだ……
「……わかりません」

