「どうする?一旦帰るか?」


言いながら机に肘をついて俺と奏の間にしゃがみ込む拓也。


「お前、今は俺が茜と話てんだろ?邪魔すんなよ」

「は?いいだろ、別に。で、どうする?佐野」

「よくない!お前は後から来ただろ?」

「俺は佐野と約束してんだよ。順番からしたらお前の方が後だ」

「はっ。何それ?」

「何だよ?」


俺を挟んで徐々に険悪な雰囲気になる貴司と拓也。


何でコイツ等こんなに仲が悪いんだ?


「ねぇ?拓ちゃん。この子、誰だか知らない?」


俺は写真を詰まんで拓也に見せた。


「は?この子って?………っ!」


拓也は写真を見ると、それをグシャリと握り潰した。


「おまっ!なんて事すんだよ!それ一枚300円したんだぞ!」


一枚300円だと?
なんてボッタクリな……


「美樹のやつ〜…」


拓也は写真を握りしめたまま勢いよく立ち上がると走って教室から飛び出して行ってしまった。


「ちょっ!写真返せよっ!」


続いて貴司も拓也の後を追って走って教室から出ていくと、奏がその様子をポカンと見つめていて。


「何があったの?」

「何でもないよ、それより今日さ?キョンちゃんが昼飯に焼肉奢ってくれるんだけど、奏も来ない?」


実は昨夜カケルと拓也が響屋にやって来て、恭介からアスカとのノロケ話を散々聞かされ、誰のお陰でアスカと上手くいったんだと拓也が事の成り行きを説明すると、その礼として昼飯に焼肉を奢ってくれる事になっていて、学校が終わったら連絡をくれと恭介から言われている。


「焼肉?」

「うん。多分美樹ちゃんも来るだろ?バイトは二人ともキョンちゃんが送ってくれるさ」

「………あのね…、佐野君…」

「ん?何か用事でもある?」

「ううん……、何でもない…、焼肉、私も行っていいのかな?」

「いいに決まってる」

「うん。わかった、じゃ、私もい…」

「奏」


言いかけた奏を遮ったのは、戸口に立つ佑樹。