「それじゃ、おばあちゃん。もう一晩シロの事、よろしくお願いします」

『はい。わかりました。旅行、楽しんできてね?』

「はい。ありがとう、おばあちゃん」


携帯を持ったまま、この場に居ないおばあちゃんにペコリとお辞儀をした。


『洋介が代わりたがってるから、ちょっと代わるわね?』

「あ。はい」


洋介さんはおばあちゃんの側に居たのか、直ぐに代わって。


『ごめんね、手短に話すから、今、佐野、そこには居ないかな?』

「はい。今ここには私だけです」

『そか…、あのさ?奏ちゃん』

「はい」

『佐野はもう…、バスケ、やらないのかな?』

「え……?」

『怪我の事は勿論知ってるよ?
余計なお世話だって言われたらそれまでだけどね。

前に貴司と一緒に試合見に来た時に、ちょっとだけ佐野のプレーを見たんだけど。

やっぱスゲーよアイツは。
でも、自信が無いんだって言ってたんだ……

全然…、そんな事無いのに…
出来る事なら、またバスケを始めてほしいと思ってる』


洋介さん………


「……大丈夫です。

佐野君はきっと、またバスケットを始めます…」

『え?それホント?』

「はい。佐野君にとって、とてもいい話があるんです」

『いい話?』

「まだ具体的では無いし、佐野君も自身も迷っているみたいなんですけど。
佐野君のご家族や、恩師である先生も、勿論…私も……、そうなる事を望んでいます」

『そうか…、後は佐野の気持ち次第って事?』

「はい。だから……、佐野君は大丈夫です」


洋介さんと同じように、佐野君も、バスケットが大好きだから……


こんなにまで佐野君のバスケット復帰を期待している人達が居るのに、佐野君だって本心はきっとそれを望んでいる筈だから。


後は私が………