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「そう言えば母さんと初めて出会ったのも、バイクが切っ掛けだったよな?」

「そうそう、通学途中にあなたのバイクに引かれそうになって転んだんだったわ」


お母さんはエプロンを外しながら、お父さんの隣に腰掛けた。


「運命的な出会いですね?その時お互いまだ学生だったんですか?」

「そうよ、わたしが高校二年生でお父さんは大学一年……、ふふふ。懐かしいなぁ」


そう言って可愛らしく笑うお母さん。


高二って今の私達と同い年。
その頃に二人は出会っていたんだ。


「母さんたらその頃からやたらと気が強くて、膝擦りむいた位で責任とれ、って俺に詰め寄って来たんだよな」

「女の子に怪我させたんだもん、当然よ。でもホントにその場でプロポーズしてくるとは思わなかったわ」

「だって、責任とれって……」

「あれは言葉のあやでしょ?」

「男が責任とるって言ったら、結婚しか無いだろ?」

「いくらなんでも話が翔びすぎでしょ?会ったばかりで付き合ってさえいないのに…」

「誰かに取られる前に、早めに手を打っとかないと、って思ったんだよ」

「わあ。それって、お父さんがお母さんに一目惚れしちゃったって事ですか?」

「うん。そうだよ」


照れもせず笑ってそう言い切るお父さんに、お母さんは両手で頬を押さえ、顔を赤くして。


「お父さんって、昔から思った事何でもさらっと言うわよね?こっちが恥ずかしくなるわ」

「今でもその気持ちは変わらないよ」

「もうっ。わかったから、やめてよっ。子供の前で……、って、茜っ!あなたそれ何本目?」


佐野君が座るテーブルの前には、空になった缶が4〜5本は転がっていた。


「ん?…、二本目……位?」

「嘘つかないの。全く…」

「ははは。いいじゃないか、母さん」

「……佐野君?そんなに飲んで大丈夫?」


空になった缶から視線を移して、佐野君の顔を覗き込んでみた。


「ふぇ?…、へーきへーきー♪あはは♪」


……なんか。


いつもの佐野君と違うような……