風呂から出るとリビングのテーブルの上には既に夕飯の用意してあって、父さんは缶ビールを二本は空けていた。
「お、上がったな、それじゃ俺も入ってくるか、先に食ってていいぞ?腹減っただろ?」
「うん。もう死にそう…」
「はは。茜はホントに大食いだな、母さんもお前が帰ってくると作りがいがある。って楽しそうだぞ?」
だろうね?
兄貴と父さんは飲むから夜はあんま食べないしな。
味噌汁をトレーに乗せた奏がそれをテーブルに置いていく。
「さ。用意出来たわ。奏ちゃん美樹ちゃん、お手伝いありがと、皆食べましょ?」
母さんの一言に俺もソファーに腰を下ろす。
自然に俺の横に座る奏。
そんな些細な事が素直に嬉しい。
「いただきます」
久々の実家で食べる晩飯は、いつもバイト先でかきこむだけの飯とは違って、賑やかなせいもあってかどれも旨くて。
俺と奏の向かい側に座る兄貴は、美樹と拓也に挟まれて超ご機嫌。
「静さんの部屋のコレクション凄いですよね。食玩とか、非売品とかも沢山ありますよね?」
ショックガン?
そんな危険な物なんかあったっけ?
「うん。懸賞やイベントやオークションなんかでゲットしたんだ、拓美ちゃん結構詳しいんだ?」
「はい。俺…、あっ、あたしも好きだから!あははっ!」
「へぇ。何か好きな物があったらあげようか?」
「え?いいんですか?」
「うん。いいよ」
「あっ!拓美ちゃんばっかりズルい!」
「あはは。美樹ちゃんも気に入ったのがあれば持って帰っていいよ?」
「わあい♪ありがとう。静さん」
「二人とも、俺の事はお兄ちゃん。って呼んでね?」
「「はい。お兄ちゃん♪」
見事にハモった拓也と美樹に身悶えする兄貴に呆れつつ、箸で唐揚げをつまみ口に放り込む。

