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−−ピィー−ッ!


ホイッスルの音と共に最後にマサトのシュートが決まって試合終了。


ブサービーターなんて生意気な。
俺だってやった事無いのに。


………全く。
お前は凄いよ。
たった一ヶ月足らずでここまで成長するなんて。


それだけ他の奴よりも沢山練習してきたんだろうけどな。


結果は85対76。
勿論赤の勝ち。


「ははは…、疲れた〜…」


拓也がその場に大の字になって寝転び、他の奴等も次々とその後に続く。


俺もそこに座り込み、両足を投げ出し身体を反らして後ろで床に手をつく。


乱れた呼吸を整えながら奏の姿を探すけど、何処にも見当たらない。


トイレにでも行ってるのかな?


「美樹ちゃん、奏は?」


ステージの上でデジカメの画像を覗き込んでる美樹に聞いてみると。


「かなちゃんね、少し気分が悪いって、外に出たんだけど、まだ戻らないなぁ…、あたしちょっと探して来るね?」


気分が悪いって?


「いや、いい俺が行く」


立ち上がろうとした美樹にそう言って、今だ寝転んだままの後輩達を置いて、俺は体育館を出た。


辺りはすっかり夜になってしまっていて、辺りを見回して見るけど、何処にも奏の姿は見当たらない。


もしかして、屋上か?


何となくそんな気がして、屋上に行ってみる事に。


階段を上ると屋上に続く扉は開いていて、外に出て目に飛び込んできたのは、両手を組み合わせ夜空を見上げる奏。


潮風に長い髪をなびかせながら佇むその姿は、息を飲むほどに綺麗で、声をかける事も忘れて俺は暫し呆然と、その姿をに見とれてしまっていた。


奏は静かに両手を下ろすと、ゆっくりと俺の方に身体を向けて。


「わっ…、佐野君…」


まさか俺がここに居るとは思わなかったようで、奏は驚いている様子。