どの位そうやってその場に佇んでいたんだろうか?


冷たくなってきた潮風のお陰で、泣いてしまった瞼の熱は冷めてくれたけど。


夕陽はすっかり海に沈んでしまって、水平線の上に微かにその名残を残して、その上の空は完全に星空になってしまっていた。


もう戻らなくちゃ、美樹ちゃんが心配しちゃうな。


手すりから手を離し、頭上の空を見上げてみると光の粒が一瞬横切った。


え?
流れ星?


続けてもうひとつ流れていって、私は慌てて両手の指を組み合わせた。


お願いします。
佐野君がアメリカでプロのプレイヤーになれますように。


私の祈りに応えるかのように、3つ4つと星は流れていって。


私は心の中で何度も祈りを繰り返した。


信じられない。
こんなに続けて星が流れるなんて。


流星群?
いや、違うな。
今の時期にここから見える流星群なんて無い筈だし、時間だってまだ早すぎる。


偶然?


偶然でもこんなに続けて流れ星が見れるなんて。


以前佐野君のうちのベランダから見た流れ星は、あまりにも一瞬で、願い事なんかする隙もなかったけど、今日は願い事が出来た。


以前の願い事とは違ってしまったけれど………


でもきちんと三回唱えられた。


以前の願いは……
叶いそうもないから。


この先も、ずっと佐野君と一緒に居たいなんて……


流れ星だって、叶わない願いより、叶えられる願いなら、きっと叶えてくれる筈。


願わなくったって、佐野君なら必ず成功しそうだけど。


だけど願わずにはいられない。


どうか…、どうか佐野君が大好きなバスケットで成功しますように。


一緒に居られなくても。


遠く離れていても。


二度と…、会えなくても……


その活躍が海を渡って私に届いて来る程に。