拓也君が戻ってきて、荷物を片付けると、バスケ部の皆は学校へ戻る事に。


「佐野先輩、俺達これから紅白戦やるんですけど、よかったら見に来ませんか?てか、一緒にやりませんか?」


そう言うリョータ君に佐野君は呆れ顔で。


「お前ら、元気だね?先生も解散していいって言ってただろ?」

「締めはバスケやんないと、1日が終われませんから」


ニッと笑ってみせるリョータ君。


「おっ。いいね、バスケ、俺もやらせてよ」

「拓也さん、うちのバスケ部はそこいらのバスケ部とは違いますよ?」


不敵な笑みを浮かべるリョータ君に拓也君が。


「何を?俺は佐野を抜いた男だぞ?」

「それ、マジすか?」

「おう」

「いいでしょう、やりましましょうか?」

「何だ?その上から目線は?」


睨み合うリョータ君と拓也君の間で佐野君は深く息を吐くと。


「拓ちゃん、コレどうすんの?コレ持ってガッコまで行きたくないんだけど……」


パラソルを肩に担いだ佐野君がウンザリとしたように言うと、バスケ部の一年生達数人が佐野君からパラソルを奪ってしまった。


「俺等が持ちますから、もう一度佐野先輩のスーパープレイ見せて下さい!お願いします!」


頭を下げられ、佐野君は苦笑して腰に手を当てる。


「……仕方ないな、奏。帰るの、少し遅くなるけど、いいか?」

「うん。全然構わないよ?私も佐野君のバスケット、見たいな」


佐野君のバスケットは球技大会以来。


私も、もう一度佐野君のプレイをこの胸にしっかりと焼き付けておきたい。


「よし!バスケ部全員学校まで駆け足っ!」


リョータ君の一声にバスケ部の皆は。


「「「「「「ええぇーっ!」

「うるさい!行くぞ!先輩、先行ってますね」


リョータ君を先頭に皆、砂埃を上げながら駆け出して行ってしまった。


佐野君はその後ろ姿を目を細めながら見送ると。


「……ははは、あいつ等、ホント元気…」

「皆、バスケットが大好きなんだよ」


佐野君だってそうでしょ?

もう少しだけ、待っててね。
また大好きなバスケット、出来るようになるからね。

もう少しだけ………