立ち上がった男の人の頭はマサト君の肩の辺りで、マサト君はその人を上からギッと睨み付ける。


「……ガ…ガキのクセに、見下ろしてんじゃねえよ!」

「カレー、食べます?美味しいですよ?」


言うとマサト君は手に持っていたカレーのお皿を、男の人の頭にひっくり返してしまった。


「熱っっ!…何すんだっ!てめぇ…!ぶっ殺す!」


男の人は掌に拳を作りそれを大きく振りかぶり、マサト君に殴りかかろうとしていて。


「マサト君っ!」


−−ペシッ!


と音がしてマサト君は男の人の額に手を当て身体を反らすと、男の人の拳はマサト君には届かず。


「……リーチ、違いすぎるのに、拳が届く訳ないでしょ?」

「てめぇ……!」

「なんだ、マサト、どうした?」


そんな二人のやり取りにリョータ君とタケル君が寄ってきて。


「この人達、奏さんと美樹さんナンパしてたんです」

「「なんだと?」


二人同時にマサト君より更に上から男の人を睨み付ける。


美樹ちゃんの隣に座っていた男の人は。


「……俺は…、そんな事してないでぃーす♪あはは…そ、それじゃ♪」


そう言って立ち上がり、その場から立ち去ろうとした所で、タケル君から腕を掴まれてしまった。


「お兄さん達、暇なら俺等と遊ばない?」


リョータ君が笑顔で言うと男の人達は、マサト君とタケル君に引きずられて外へと連れていかれてしまった。


「マサト君、カッコいい!ね?かなちゃん」

「うん。そうだね」


マサト君に助けられちゃった。


弟みたいに可愛いって思ってたのに、やっぱり立派に男の子なんだなぁ……


「はい、デザート」


目の前にフルーツが沢山盛られた、トロピカルなフラッペが私と美樹ちゃんの間にふたつ置かれて、後ろを見上げるとそこには佐野君と拓也君。


「わあ、綺麗。美味しそう、ありがとう佐野君」

「あれ?マサトは?」

「マサト君はね……」


美樹ちゃんがさっきの出来事を佐野君に説明すると。


「ふうん…、俺、トイレ行ってくる」


そう言って拓也君と二人、私達がフラッペを食べ終わるまで戻ってこなかった。